special day / 4






料理は届いた。ダイニングルームの準備OK。
アイツらは、ホテルの人がついでに持ってってくれて助かった。
警察署の前に捨ててきてくれるって言ったけど、面倒だからそこのゴミ捨て場でもよかったのに。親切な人たちだった。
さて、そろそろ快斗が帰ってきてもいい時間。
まだかな………あ!門が開いた!快斗だ!


「新一、ただいま〜」
「おかえり、快斗!」

タイミング、バッチリ。
ふふ、ポーカーフェイスにちょっぴりヒビが入ったか?

「え…と…どうしたのかな?そんなに寂しかった?」

ニヤニヤして。すーぐ、調子取戻しやがるんだから。
でも!今日はオレが主導権握ってんだぞ!

「なんで?」
「だって、わざわざ新一くんが出迎えてくれてるんだもん。しかも、オレが帰ってくる頃合を計ってたでしょ」

ふん、そのくらいバレるのは計算のうち。
気分よく舞い上がってるとこで―――。



「快斗、お疲れ様でした。ご飯にしますか?それともお風呂がいいですか?」


「え…?!」


目を丸くしてる!
そりゃそうだよな。正座して三つ指付いてだなんて、予想もつかなかっただろ!
見事に唖然としてる!こんなビックリ顔なんて、もしかして初めてじゃないか?!
いい気持ち〜♪
さあて!これからあのご馳走を見て、もっと驚け!
そして、何の日かわからなくてドギマギしやがれ!

「――――フ…」

…ふ?ふってなんだ…?頭の上からしたよ、な?
快…と…ッ?!

「フフフフフフフフ!!」

顔が…快斗の顔が崩れてる!!
驚きすぎて気が触れたか?!

「も〜う!新一くんってば!!新婚さんごっこがやりたかったのかぁ〜!!かわいいなぁ〜vv」
「へ…?」

新婚さんごっこって……何言ってんだよ!
オレたちはもう新婚なんかじゃないぞ!一年は経ってんだから!

「勘違いするな!そうじゃなくって!今日は…っ」
「いいからいいから。もちろん、食事よりお風呂より新一くんがいい〜って定番なことは言わないから」

な、なんかイヤな予感…。ここはひとまず!

「快斗!出かけて帰ってきたんだから先に風呂入ってこい!それからメシだ!」
「そうだね」

ありゃ、素直だ、えっ?!

「ちょ、ちょっと!どこ行くんだよ!」
「お風呂でしょ。だって先に一緒に食事にするか、一緒にお風呂に入るかって聞いてきたの新一くんじゃん」
「誰が一緒にって言った!!」
「ハイハイ。朝から素直だったんだから、今更照れないで」
「ちがーーーうっっ!!はなせーーーっっ!!」






















せっかくの記念日…。快斗を驚かせる計画が…。
どこが悪かったんだ…?テレビでやってた通りにしたのに……。ドラマの中の夫は、妻の出迎えに顔を真っ赤にして照れまくって落ち着かなくってアタフタして、挙句にズッコケタのに!
あ〜もう、アタマ…全然動かないや……ふわふわしてるし……熱いし……。
だるくって…手も動かせない……くそ…快斗のヤツ……。

「新一くん!ダイニングにすごいご馳走があるけどどうしたの?ホテルのデリバリーだよね?」

…ったく。
せっかくのメシも何時間も置いてりゃおいしくない。保温器にかけてたって冷めないだけで味は落ちる。
どうしてくれんだよ、快斗のばか。あんなことするから!

「うわ!なに?!」
「ダイニングに移動〜。お風呂の次はご飯だもんね」
「オレ、もう寝る!疲れた!」
「ご飯食べたらね〜」

大失敗なんだから、今更どうしろって?!
オレの自己満足につき合わせて振り回してやるつもりがこんな…!

「…オイ、なんでオマエの膝に座ってんだよ。ちゃんと椅子におろせ」
「一人で座れないでしょ?転がり落ちちゃうよ」
「誰のせいだ!!」
「もちろん、オレ。だから責任とるって」

ニマニマしやがって!新婚ごっこがそんなに楽しいか!
どうせオレのすることなんかオマエには通用しないよ!
色々考えたことだって、何一つ上手くいかなかったし!失敗だらけだし!
ホント…ばか、みたいだ……。

「ホラ、新一」
「冷た…っ」

何?グラス?―――ワインだ。
何で?ワインは用意してなかったけど…。

「乾杯」

もう片方にもワイングラスを持って…。

チン。

グラスを合わせて…なんで乾杯?

「飲まなきゃ、乾杯にならないよ」
「ん…」

ちょっとだけ。
湯上りだからアルコールはきくなぁ。

「ね、新一。これってお祝いだよね?何かの記念日だったかな、今日?」
「え…」

快斗…少しはアタマ悩ませたのか?
オレのお遊びだなんて思わないで、真剣に考えてみた?

「新一はいつも突飛だけど、理由ナシにはじめはしないだろ?」
「うん……あのさ、オレも記念日のお祝いをやってみたかったんだ」
「新一が?」

そんなに意外かよ。素っ頓狂な声あげて。

「だってだって、新一はさ。最初のころは楽しそうだったけど、近頃はあんまり乗り気じゃなかっただろ?」
「あんなしょうもない初めて記念日はな!でも、オレたちの節目になった大切なものは嬉しかったさ。嬉しかったけど!快斗はいつも一人で勝手にお祝いしてただけだろ?!だから悔しかった!」
「ゴメン…ゴメンね…。そうだね…オレはいつも一人で浮かれてただけだね…」

あ…落ち込んだ?
どうしよ、ちょっと言い方がきつかったか?

「べ、別に責めてるわけじゃない!だから、その…オレだってお祝いをやってみようって思っただけなんだから!今日はそれだけ!」
「何の…記念日だったの…?ゴメン…オレ、わからないんだ…」

声が暗い…やだな。快斗は笑ってるほうが好きなのに。
わかんなくて焦ればいいだなんて…思わなきゃ良かった。

「わからなくっても当然だよ。別にオレたちの間の記念日ってわけじゃないから」
「…なに?」
「今日、22日だろ。語呂合わせで"夫婦の日"なんてものになってんだって。だから深い意味は…」
「なんだ、そっか!"夫婦の日"か〜!!まさしくオレたちにぴったりの日じゃん!」

オイ…!さっきまでのしおらしさはどこいったんだ?!
オレって、ばか?聞かれるままに答えるなんて……なんでわかんないんだって嘆いてみるべきだったんじゃ…?

「最高に幸せだな〜!新一くんがこんなこと考えてくれたなんて!そうだよな、オレたちこの前最初の結婚記念日迎えた夫婦だもんな〜。参った!新一くんにしてやられたよ!」

なにがシテヤラレタだよ!大嘘つき!
いいよ、もう。快斗を振り回そうなんて考えたのが無謀だったってことだろ!
こうなったら、食って食って食いまくってやる!ヤケ食いだ!

「快斗!それとって!」
「え?このテリーヌ?」
「そ!」

んんーちょっとぬるいけど…。さすが一流ホテルってとこだな。

「おいしい?」
「ん、次はあの鴨肉」
「はい、あーん」

あーんは余計だっての。
あ、快斗も食ってる…おいしいかな?

「おいしいよ。新一がオレのために用意してくれたんだもんね」

こんなに嬉しそうにされると……なんか、失敗したのか成功したのかワケわかんないや。
もういいか。満足できたっていえばできたんだろうし。
オレ設定の記念日が一つくらいあったっていいから。この"夫婦の日"は毎年お祝いしよ。


「来月も楽しみだなぁ〜♪」
「来月?何で?」
「だって、新一くん。22日は毎月あるんだよ」
「…へ?」


また正座して三つ指ついてお出迎えしてもらって。
『あなた、お食事にしますか?お風呂にしますか?』って聞いてもらって。
もちろん、一緒にお風呂に入って。いちゃいちゃして。
ご飯はオレがこうやって食べさせてあげて。
そして、ベッドに直行して。
一晩中、夫婦の営みに精を出さなきゃね。
なんてったって"夫婦の日"だから♪
新一と一緒にいられて毎日しあわせだけど。
月に一回の新一くんのご奉仕デーまでできて超絶しあわせだな〜、オレ。

あれ?どうしたの、新一?
もしかして知らなかった?毎月22日が"夫婦の日"記念日だってさ?








end  
01.11.07  

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■story

910hit、政宗さまのリクエストです。
910だったので『記念日』ということと、『プラス当て馬をばしばし当ててやって』ということでこの様な代物に成り果てました(笑)。当ててるってよりも新一くんが撃墜しておりますが。
構成を頭のなかで組み立てて進めていても、いざ書くとなったら思い通りにいかないというか。リク話で続きにするのはダメと決めていたのになぁ。ははは〜。
それにしてもこの新一くんはハチャメチャですね。でも被害者はいつもの如くだからいっか(オイ)。
またもや快斗の出番は最初と最後だけ…。いちゃいちゃらぶらぶはどこにいったのか。








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