special day / 2 






さて、どうしようかな。

記念日を決めたまではよかったけど、なにをするかなんてさっぱり考えてなかった。
さっさとしないと時間がない。




「ごめんね、新一。オレ、今日は仕事の打ち合わせがあるから大学は…」
「ふぅん、じゃあオレも行かない」
「行かないって――まさかオレが一緒じゃないと寂しいとか?」
「うん」


突っ込まれるのが面倒だってこともあったけど、やっぱ追い出す手間が省けたことでほっとしてたんだろうな。
心底嬉しそうなカオして、抱きしめてくるし。なかなか離れてくれない挙句にとんでもないこと言うし。

「今日は、新一くんが初めてオレを恋しがって素直になってくれた日だね。帰ってきてからお祝いしよう!」

ったく、あのバカオトコめ。
今日はオレがお祝いをしようって日なんだから、勝手なことぬかすんじゃねぇっての。
蹴り飛ばして追い出したのに、嬉々とした声で、

「さっさと終わらせて帰ってくるからさ、少しだけ辛抱してね」

だと。
まいったなぁ。早く帰ってこられても困るのに。
とにかく、何かお祝いらしいことしないと。
お祝いお祝いお祝いお祝い……………………。



そうだ!
お祝いって言えば、ケーキだよな。うん、ケーキだ。
快斗、ケーキ大好きだし。よし!



書斎にケーキの作り方なんて本はないけど、快斗の部屋にならあると思った通り。
それにしてもスゴイ本棚だった。
料理人でもないのに、あれだけの料理の本があるなんて。和洋中韓伊仏の家庭料理からおもてなし料理まで、実にヴァリエーションに富んでいた。………もしかしてアイツ、マジシャンやめて多国籍料理屋でも開くつもりか?

ま、いいや。
とにかく、ケーキ作り。

【用意するものは、卵、小麦粉、砂糖、バター、ベーキングパウダー、バニラエッセンス】

ベーキングパウダー…ってなんだ?バニラエッセンス?
小匙1/4に、少々ってもんならいれなくったって大丈夫だよな。
さて、えーと。

【ケーキ型に合わせてパラフィン紙かわら半紙を敷く】

パラフィン紙って、パラフィン蝋を染み込ませた紙のことだよな。そんなもんうちにはない…はず。わら半紙、か。わら半紙でいいなら、新聞紙でもいいよな、うん。ケーキ型は確かこの辺に快斗、直していたはず――あった。

【小麦粉はベーキングパウダー(は入れない)とふるっておく】

ふるうね。ざるでいいか。
小麦粉120グラムを入れて、よいせっと。


「ごほっ、ごほ…っけほ…」


うわっ…真っ白…。
頭から被った…本も粉まみれ…。


…………あーもう面倒だ!
要は材料を合わせて焼けばいいんだろう!よし!

そこら中に散乱した分の粉を継ぎ足して、卵4個、バターも入れた。後は、砂糖。
120グラム?!そんなに入れるのか?!
ダメだ!こんな甘いもの食べちゃ、快斗ぜったい病気になる!
砂糖なんか入れるもんか!
あー……でも、この120グラム分なにか入れないといけないよな。何入れよっか…。
白いものってくれば、やっぱ塩か。塩分のとりすぎもよくないけど、砂糖よりはましだろう。
これを混ぜ合わせて。
―――なんか、卵がごろごろしてやりにくいな…。いいや、もう型に入れちゃえ。


グシャ、グシャ、グシャ、グシャ。(←注:高いところから入れたせいで、卵が割れました)


……………………さて、焼こうか…。
160度で約40分か。40分も待ちたくないな。
温度あげればその分時間も短くなる…よな?最大は250度ってことは64%熱量を増すんだから、時間は64%削減でいい…よな?いい。きっと、いいんだ。
25.6分だから、26分でセットして。よし。
焼きあがるまで、トッピングの用意をしよう。

【生クリームに砂糖を加えて固めにあわ立てる】

生クリーム――って冷蔵庫にないぞ。
ま、生クリーム塗ってなくてもケーキに変わりはないからいっか。
いい、よな…?快斗、生クリーム好きだもんなぁ…どうしよう…うーん…。
とりあえず、片付けでもするか。


………………………これ、オレが片付けるのか…。


頭が痛くなってき、た…あれ?
玄関…だよな。うるさいの。
まさか!
まさか、快斗もう帰ってきたのか?!
そんな、まだ一時間くらいしか経ってないぞ?!どうしよう?!





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01.11.02  
  

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